2013年11月9日土曜日

knock off


ローラン・ビネのHHhHを読み終わった。
それで今、ナインストーリーズをもういっぺん読み直している。
サリンジャーは野崎訳しか読んだことがなくって、
別の人が訳した本はどうなのかなぁと手に取ったのだけれど、
やっぱしおんなじ風に心が揺さぶられる。
書かれてなんかいないのに、日のまぶしさや顎についた砂の感触、
ほとんど無音なのにとんでもなく拡張されたようなざわめき、鬱蒼とした室内の空気、部屋の暗さ、
そういったものが、確かにある。
カポーティーやサリンジャーの文章からは描写されるイメージを超えて、実際を感じる。
背後の気配が分かる。

そんなところに一滴、イノセンスを垂らされると、実感と際立ちが上手に作用して
為す術もなく過剰に反応してしまう。
帰り道、バナナフィッシュがたくさん空を泳いでた。

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