2013年10月27日日曜日

オルタナテイブ



自転車で長い下り坂をかけ抜けた先の吹奏楽部と共有の入り口前で
数人のホルンさん達やトランペットくん達がパート練習をしている。
同じケースを手にした私は少し居心地わるく思いながらその脇を抜け軋むドアをあける。
扉にはふたつのサークル名が掲げられている。
曜日ごとにこの部屋の管理サークルが入れ替わるのだ。
オルタナティブという言葉に触れるたび、私はこの部屋の埃っぽいカーペットを思い出す。
それはほとんど、かつてカーペットだったもの、という代物なんだけど。

最終の練習枠を終えて部室を出ると、春の真夜中はまだ冷たい夜露のようで、
まぁでもそんなことはさっき灰がいっぱいになったバケツに吸い殻と一緒に放り込んだ。
彼らはジャージのままあてもなく車をとばす。
車には計器なんてないようなもので、それにわたしたちはほとんど時間も所持してない。
なんであの頃、さかんにあちこちの港に行っていたのだろう。
その時々で寄港している船は様々だった。
北へ向かうフェリーや自衛隊の艦隊や世界を回っている旅客船。
それらをフェンス越しにしばらく眺めていた。
車内のむせるような非生産的な空気はいつでもひどく心地よかったな。
あったかい土の中みたいだった。

2013年10月20日日曜日

official conscence


テレビでピノキオを観た。
最後に、ジミニークリケットがofficial conscenceの金バッジもらうところが好き。
「良心」ってことば、映画の中では書き言葉すぎるかんじがするけどな。
(ワンスアポンアタイムもディズニーピノキオに会わせて「良心」にしているけれど)

それからOswald the Lucky Rabbitも観た。
紙面上でできないこと、アニメーションの動きを駆使する小ネタが
ユーモアいっぱいに詰め込まれていて、ああ、まねしたいなぁ
行儀のいいテーマをかかげたスタイリッシュでつまらない映像より、
こういうのをげらげら笑ってみてる方がよっぽどいいよ

2013年10月8日火曜日

MONKEY

わたしは視覚型の人間なので、こんなに本を読んでいても慣用句を全然使えないし、
匂いや温度の表現がとっても乏しい。ひどく残念です。

昨日ベットに潜り込んで目を閉じてから、「MONKEY No.1」を買いにいかなかったことを思い出した。うっかりしていた。
お昼になってから、近くのそこそこ信用している本屋さんに行ったけれど見当たらなかったので、店員さんに聞いてみたがだめだった。しばらくして駅前のジュンク堂に電話をかけた。

「在庫1点ありますy「ありがとう!」

最後の1冊を手に入れた心地はそれはもうひどく良かった。
帰り道、車を運転しながら手をぱちぱち鳴らしたり、
(Dirty Projectorsをかけていた)
信号が赤になるたびに袋からだして表紙のつるつるをなぞったり、
ページをぱらぱらして紙のにおいを嗅いだりしていた。

そうだそうだ、少し前に高橋源一郎さんがNYでポールオースターに会った、みたいなことをつぶやいてたのはこれだったんだ、とかそういうのばっかし思いついてた。
たのしい。

2013年10月3日木曜日

La souris


1週間ぐらい前に、会社のなかでもちいさな課の卓上に、
そろそろ上映が開始される映画について書かれた校正紙が2見開きあった。
それは原作の翻訳者のうちのひとりによって書かれた文章で、
物語のなかで描かれている心やさしいトリックスターについてだった。

まだ朝早く、そこの課には誰もいなかったけれど、
ちょうどよくそのページの組み版作業をしている人が出社してきたので、
こっそり頼み込んで出力してもらった。

いつ見れるのかわからないけれど、
予習ばっちりだよ