2013年10月27日日曜日

オルタナテイブ



自転車で長い下り坂をかけ抜けた先の吹奏楽部と共有の入り口前で
数人のホルンさん達やトランペットくん達がパート練習をしている。
同じケースを手にした私は少し居心地わるく思いながらその脇を抜け軋むドアをあける。
扉にはふたつのサークル名が掲げられている。
曜日ごとにこの部屋の管理サークルが入れ替わるのだ。
オルタナティブという言葉に触れるたび、私はこの部屋の埃っぽいカーペットを思い出す。
それはほとんど、かつてカーペットだったもの、という代物なんだけど。

最終の練習枠を終えて部室を出ると、春の真夜中はまだ冷たい夜露のようで、
まぁでもそんなことはさっき灰がいっぱいになったバケツに吸い殻と一緒に放り込んだ。
彼らはジャージのままあてもなく車をとばす。
車には計器なんてないようなもので、それにわたしたちはほとんど時間も所持してない。
なんであの頃、さかんにあちこちの港に行っていたのだろう。
その時々で寄港している船は様々だった。
北へ向かうフェリーや自衛隊の艦隊や世界を回っている旅客船。
それらをフェンス越しにしばらく眺めていた。
車内のむせるような非生産的な空気はいつでもひどく心地よかったな。
あったかい土の中みたいだった。

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